NIGHT MOON
「これが依頼されて調査した結果全てです。御覧下さい。とんでもない事が分かったのです」



神田川は何やら
ある男に調査の依頼をしていたらしい。



調査報告書類、数枚を素早く
目を通すと神田川は
血相を変えて唖然となる。
同時に酒の入ったグラスを
テーブルの下に落として割ってしまう程取り乱してしまった。



「こ、これに書いてある事は本当なのか?間違いではないのか?」



「間違いではありません。我々の有力なルートによって調査をしたので正しい結果です。少々時間を費やしましたが…」



「そんな馬鹿な」



肩をガックリ落として立てない
状態の神田川に男は言う。



「オーナーはいつも得体の知れぬ男ばかり連れて来る。まさかこんな事があるなんて驚きです」



「私は…私は信じられない。まだ信じたわけじゃないぞ」



「これが真実です。ちゃんと受け止めて下さい。無理もありませんよ。二十年以上も会ってないのですから」



「ああ…そうだな。正確には二十六…いや二十七年か…」



自分に言い聞かせる様に言い
テーブルの上にあった
酒を手に取り、ボトルのまま
一気に飲み干す。



「オーナー?」



「完全に忘れたわけではなかったはず。心のどこかでは覚えてた。あの時の私も若かったんだ。人生に後悔などしたくなかった。仕方ないんだ。けど今になってはっきり言われてしまうと、これからどうしていいか分からなくなってしまう。ただ…私は…」



また酒に手を出そうとする
神田川を見て男は止める。



「オーナー飲み過ぎです。やめて下さい!」



「いいから飲ませてくれ!飲まないとどうにかなってしまいそうなんだ」



「駄目です。身体に障ります」



言ってすぐに神田川は
むせる感じに倒れかかり
胸をおさえた。



「くっ苦しいっ」



「オーナー」



「はぁ…はぁ…水、水をくれ」
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