NIGHT MOON
同じ頃。



今日、七本目の煙草を消しながら
夜月は酒の入った片手に
何気なくカーテンの隙間から
少し見える外の様子を眺めてた。



「雨は嫌いじゃないが、ここまで気まぐれに降られると嫌気がさすな」



そう言うと隙間を隠す様に
カーテンを勢いよく閉める。



「…あ…め…」



一緒にいた朱里が
ソファから立ち上がり
ふと呟く。



「朱里、どうかしたか?」



「あの日も雨が降っていたから」



「お前と会った日か?」



「うん…」



「そういえばそうだったな」



「あたし、夜月くんと出会えて良かったよ。初めてだよ夜月くんみたいな人って…」



「俺はそんなに珍しい男か?」



「そうじゃなくて…」



答え様とした時
夜月は朱里の痩せた肩を後ろから
そっと抱き締めた。
< 69 / 100 >

この作品をシェア

pagetop