NIGHT MOON
「もういい…何も言うな」



「夜月くん」



「何だ?」



「あたし、もうそろそろ帰らないと…」



「外は大雨だぜ」



「そうだけど…」



「明日、仕事だっけ?」



「休みだけど」



「なら今夜は俺の側にいろよ」



「………」



「お前を送る度、一緒に帰れる部屋があればいいって思うのは俺だけか?」



「え…」



「この広い部屋に一人で居るのは結構孤独を感じるんだぜ。お前と会うまではそんな事思いもしなかったのにな」



「夜月くん…」



お互いに見つめ合うと
夜月は真剣な眼差しで言う。



「俺は何より誰より、お前だけが欲しい」



そのまま夜月は朱里を
ソファ側に押し倒す様に倒れたが
何だか様子がおかしい。



倒れたまま何の動きもない夜月に
朱里は体を横にして
起き上がって声を掛ける。



「夜月くん?」



しかし、何の反応もない。
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