彼女とカノジョ

2人の関係

彼女とお茶をして1週間。
私は彼女と大塚先生の関係に疑問を抱いていたままだった。
…今日のゼミで大塚先生に何気なく彼女の話をしてみよう。



私は何時もより少し早く、ゼミが行われる大塚先生の研究室へ向かった。

トントン…「失礼します」

私がドアをノックして入ると、大塚先生はパソコンの前にいた。

「安田…お前早いな。お前が早く来るなんて何か気味が悪いな」

先生は、そう言って笑った。
大塚先生は35歳の准教授。見た目は普通の人。とても優しくて穏やかな人。歳も若いせいか生徒から慕われている。

…あんなに綺麗な麻里さんが、こんな普通の先生と何があったんだろう。私の疑問は膨らむばかりだった。

「先生。三宅 咲さんって知ってますか?」

「あぁ!三宅か…懐かしいな。俺のゼミ生だったんだよ。お前、知り合いなのか?」

彼女が先生の名前を聞いて動揺した様子とは全く違い、先生は何時もと全く変わらない様子で、私は拍子抜けしてしまった。

…私の勘違いだったのだろうか。そういえば彼女は、先生が結婚してると思ってた。私は更に質問をしてみる事にした。

「三宅さんは、私の彼氏の同期で知り合ったんですよ。三宅さん、先生は奥さんに夢中かって言ってたんですけど、先生は結婚してましたっけ?」

「独身だよ。三宅は、俺がアイツと結婚したって思ってるんだろうな…」

「先生、そのカノジョに振られたんだ」

私が先生をからかった。すると、先生は苦笑いしながら…

「そうかもしれないな」

と言って再びパソコンに向かった。

私は、それ以上カノジョの事について聞かなかった。と言うより、先生の様子を見ていると聞けなかった。
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