ヒロイン 完
数分後、ばつの悪い顔をした泉さんとニコニコな逞さんが現れた。


え?


たった数分で何が?


こ、こら!


逞さん!


いったい泉さんに何を!


困惑していると逞さんが、いけしゃあしゃあと……。



「じゃ、俺帰るから。バイバイ、奈緒ちゃん」



とか言いって、あっさり帰ってしまった。


お前、この空気の責任ぐらい取ってから帰れ。



「……」


「……」



気まずさに耐えられずソファーの上で体操座りをして顔をうずめた。


すると隣に泉さんが座った気配がした。



「奈緒ちゃん」


「……はい」



顔をうずめたまま返事をした所為か、くぐもった声が出た。



「顔、挙げて」


「……」



私は、ゆっくり頭を挙げて泉さんに向けた。


ちょっと顔をしかめて笑っている泉さんがいた。



「ごめんな」



え?



「あー、もう。まじでうぜぇ」



って言って顔を両手で覆いながら天に向けた。


え?


え!


わ、私ですか!?
< 123 / 221 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop