ヒロイン 完
「ありがとう。でも家近いから大丈夫」


「ほんと?」


「うん」



私は赤髪おにーさんの顔を拝んだ。


いやーそれにしても、この世に、こんなイケメンがいるのか。


私は頭を下げ礼を述べる。



「ありがとうございました」



そのまま踵を返して帰ろうとしたら腕を掴まれた。



「なんですか?」


「奈緒ちゃん。ちーちゃんと同じクラスなんだよね?」


「……はい」



一瞬、おにーさんの瞳の奥が光った。


おにーさんは何も言わず私を見てる。


私も視線を逸らさない。


否、逸らせない。


そして戸惑ったように視線を先に逸らした、おにーさんは言った。



「あー…ちーちゃんを、よろしくね?」



それを私に言う?



「私に言ってるんですか?」


「そうだよ」


「私はクラスメイトですよ?」


「だから言ってるだ」


「私は……私が直接、千夏ちゃんになにもしてなくても、私は見てみぬ振りをしているんです」



私は腕を振り払った。



「私も、あいつらと同類だ」



苦々しく吐き捨てた言葉は自分の胸に突き刺さった。
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