ヒロイン 完
「開けていい?」


「はい」



やばい、緊張する。気に入ってくれるだろうか。好みじゃなかったらどうしよう。


そんな不安を抱えながら泉さんが封を開けていくのを見つめていた。



「……」



小さな箱を開けた泉さんの手が止まった。


あれ、気に入らなかった?

それとも……。



「奈緒ちゃん知ってたんだ」


「あ、はい。もしかして、もう塞がっちゃってました?」



そんな予感もしてたんだよね。


泉さんは、その問いに応えず慣れた手付きで装着した。



「似合う?」


「あ……はい。お似合いです」



泉さんの両耳に装着されたシルバーピアス。


やっぱ似合う。


なんたって即決めだったもんね。



「ありがとう」



もう一度言われたお礼に私は頬を赤くして俯いてしまった。


反則です、泉さん。
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