ヒロイン 完
「触んなよ」



へ?



「いいじゃーねーかー」



え?



「離せよ」


「やーだー」



だ、駄々っ子か?


駄々っ子なのか?


てか、何故に腕を掴む?


それより自分より背の高い男の人、二人の間に入ってる私の身は気にしてくれないのか?


首が痛いんですよ。



「いい加減にしろよ」



泉さんの天使の皮が剥がれそうになったから慌て声を発した。



「あ、あの!」


「ん?」



泉さんの優しい笑顔にちょっとビクッとしながらスーツで酔っ払いでMでしかも駄々っ子なおにーさんに言った。



「あの…何か?」


「別に特にないけどー」



ないのかよ!


突っ込みたい気持ちを抑えるのに大変だった。



「俺、自称:慎司の親友の白瀬逞よろしくね」



自称なんだ……。


何で、この人突っ込みどころが満載なんだろう。



「えっと、神山奈緒ですよろ……」



しくお願いします、が言えなかった。



「はい、そこまで。奈緒ちゃん帰るよ」



今度は泉さんに腕を引っ張られ玄関へ向かった。
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