ヒロイン 完
「おめーでけぇ声出してんなよ、うるせーだろ、近所迷惑だろ、うざいだろ、イライラするだろ、奈緒ちゃんが怯えるだろ」



必死に頷くおにーさんに容赦ない言葉を浴びせた。


てか、最後の言葉はいらないと思う。


あと、泉さんは天使じゃなくて天使の皮を被った悪魔さんでした。


しばらく大人の男の人のじゃれ合いを眺めることにした。


そして、あまり高校生男子と変わらないという結論がでた。


泉さんは何だかんだ言っておにーさんが好きなんだと思う。


だって、虐めてる顔がめっちゃ楽しそうだもん。


やっぱりSだったのね。


そして、おにーさんはMなんだね。



「おい、女子高生ちゃんはいいのかよ!」



むせ返ってるおにーさんは涙目で訴えた。


どうやらさすがのMも、もう限界らしい。



「あ………奈緒ちゃんごめんね、送ってくよ」



忘れるほど夢中だったんかい…。



「奈緒ちゃん?」



小首を傾げ顔を覗き込まれた。


近っ!


瞬間移動ですか!?


てか、その顔は犯罪です!



「あ、はい…帰ります」



おにーさんに軽く会釈をして通り過ぎようとしたら腕を掴まれた。



はい?
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