天然男の恋愛事情〜オフィスは恋の花盛り〜
「という事は、酔ってふざけてキスしてたって事か?」


「そうさ。片桐チーフにしてみれば、弟としてるようなもんさ」


「弟とキスしねえだろう、普通は……。まあ、それはいいとして、それ以上はナシなんだな?」


「ああ、もちろん」


「なんだ、そうだったのか……。フッフッフ」


武田が急に笑い出した。不気味だが、嬉しそうに。


「お前、なんで笑ってんだよ?」


「あ? 嬉しいからに決まってんだろ?」


「何が嬉しいんだよ?」


「分からねえか?」


「分からねえ」


「お前は本当に鈍感な奴だな?」


と俺を馬鹿にして、武田はなおも笑い続けた。


俺には何がなんだかさっぱり分からなかった。


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