天然男の恋愛事情〜オフィスは恋の花盛り〜
「こうして二人で会うのは久しぶりよね、翔ちゃん?」


「あ、そうですね」


いつ以来だろう、と俺は考え、すぐに思い出した。

あの問題の日以来だという事を。


「なんか、片桐チーフ……」


「トーコって呼んで?」


「え? でも……」


確かあの日、俺が片桐チーフのマンションを出る時、“もうトーコなんて呼ばないで!”って、言われた記憶があるんだけどなあ。


「お願い。それくらいはいいでしょ?」


“それくらいは”という片桐チーフの言葉が、俺の胸にチクッと刺さった。


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