ひとつになりたくて
「あのぅ部屋に入れてもらいたいんですけど?いい加減、誰かに見られたらヤバイ」

ハッと現実に引き戻されたっていう顔をする彼女。

俺はニコッと微笑むと、ドアノブを握っている彼女の手をそっと取り、玄関の中へ体を滑り込ませた。

「バタン」と閉まる玄関ドアの音を合図に、彼女へ両腕を伸ばしそっと抱きしめた。

まだ固まったままの彼女。

「会いたかった?」

そっと耳元で囁くと、今度は彼女の体を強く強く抱きしめた。

「・・・会い・・・た・・・かった・・・」

泣いているのかな?

震える声。

俺の背中に回した腕と手が微かに震えている。


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