やっぱり…


トントントン


一定のスピードで近づいてくる足音に


恐怖を感じ


指先の震えがとまらなくなった。


するとそれを見ていた美夏が


『大丈夫だよ』っていいながら


ずっと背中をさすってくれた。


そのおかげで涙はとまった。



音楽室の前で止まった足音


そしてトントンってノックされるドア


その瞬間体がビクッてなった。


春 『はーい。』


『いいかな?』


聞こえてきたのは祐先生の声だった。


『どうぞ。』


『これ、タオル!よかったら使って。』


なにも知らない美夏とわたしはびっくり、


そして、美夏がたずねる。


『先生?』


『いきなりごめんな。さっきたまたま見つけちゃって心配になったから。水も入ってるから飲んで落ち着いてね。』


春&美夏 『ありがとうございます。』


祐 『それじゃ。』


あっという間に去っていった祐先生。


大好きな声なのに


求めていたはずなのに


振り向くことすらできなくて、


背を向けたまま


その男らしさに恐怖を感じていた。


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