青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
ノラと呼んで自分を可愛がってくれた舎兄。
舎兄は舎兄なりにチームを想っていたし、なにより持て余しているチームの力を高く評価していた。
その力を使えばきっと、チームのためになると考えていた。
「くそっ」
楠本は半分ほど吸った煙草をアスファルトに落として、靴底で磨り潰す。舎兄がどうして消えてしまわないといけなかったのだろうか。
肩身が狭いから、責任を取るために、自尊心のために、思いは沢山あっただろうけれど自分は彼を必要としていた。
だって居場所をくれた人だから。
自分の傍若無人っぷりでさえ、しっかりとそれを受け入れて仲間として、弟分として、舎弟として傍にいてくれた人だったのに。
暴力性の高い性格によって、居場所と存在価値を見失っていた自分を救ってくれた人だったのに。
「俺達が有名になれば、貴方は戻って来るんでしょうか? サキさん」
有名になって貴方の居場所は此処にありますよ、と噂を立てれば仕方が無さそうに肩を竦めながら戻って来てくれるのだろうか。
「馨さん」
と。
仲間から声を掛けられる。
シケた面を見られたくない楠本は、「動きはあったか?」相手を見やることなく質問。
肯定の返事をする仲間は、「浅倉達は」どうやら奇襲攻撃をかけようとしているらしいと一報。
今、奇襲を掛けられやすそうな土地を視察しているらしい。
向こうには地を利用する荒川チームがいる。
奇襲攻撃ばかり掛けようとする自分達に、オウム返し戦法を取るようだと報告を受ける。
「ということは」
荒川達がまた動いているのか、楠本は先日の一件を口にして疑問を抱く。
土地を利用することが得意なのは荒川達であって、浅倉達ではない。動くのは荒川達か。邪魔なこと極まりないと楠本は舌を鳴らす。
“エリア戦争”の恨みはあるものの、目的はあくまで浅倉チーム。
お呼びではない。
「ある程度の土地の目安は分かっています、馨さん」
仲間は連絡があったことを頭に伝える。
その連絡を聞いた楠本は機敏な動きで行動を始めた。
「今日で終わらせる」終わらせてやる、ゾッとするような笑みを浮かべて。