青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
◇ ◇ ◇
今日は曇天か。
水気を多量に含んだ空の重さと、その禍々しい黒さはいかにも降りそうだと楠本は天を煽ぎながら思った。
銜えている煙草の先端からは、空へとのぼる紫煙がふわりふわり。
空気に溶けていく紫煙に目を眇め、楠本は街の薄汚れた路地裏の一角でひとり、煙草をふかしていた。
「サキさんが消えた日もこんな天気だったな」
楠本は泣き笑いを零す。
あの日、見舞いに行った日も空は重々しい雲で覆われていた。
入院してからというもの、誰とも口を利かない舎兄に元気づけようと病室を訪れたあの日、舎兄は人知れず退院していた。
大慌てで看護師に行方を聞いたのだが、誰も何も知らず。
家を訪れても舎兄の姿はなかった。
一体全体何処へ行ってしまったのか、焦りに焦って携帯に連絡。
何度目かのコールで舎兄は出てくれたのだが、そこで告げられたのは舎兄弟白紙。
浅倉チームに戻るよう吐き捨てるように言われて電話を切られてしまった。
掛け直しても相手は出てくれず、メールをしても返信はなく、とうとう携帯自体連絡が繋がらなくなってしまった。
楠本自身、舎兄に捨てられたという気持ちはそこになく、寧ろ、拾ってくれた舎兄が責任を感じて消えてしまったのだと痛感。現
実を受け入れられず、街中を探し回ったが舎兄は何処にも見つからなかった。見つからなかったのだ。
その一方で目にした浅倉チームの現状。
半強制的に裏切らせた仲間達の半分がチームに戻って悠々ぬくぬくそこに居座っている。
舎兄を深く傷付けた、裏切りの主犯・清瀬 蓮まで戻っていたのだから楠本自身、強い憤りを感じた。
どうしても許せなかったのだ。彼がチームに戻っていること、そして舎兄と元の鞘に戻っていることに。
―――…自分はあんなにも慕っていた舎兄を失ってしまったというのに。