青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
【駅周辺
路地裏一角(担当:蓮)】
ヴー。ヴー。ヴー。
制服のポケットに突っ込んでいる携帯が低く唸り、小刻みに震え始める。
それはまるで、これから起こる出来事に対して警鐘を鳴らしているよう。
三通ほどメールをくれたらしく、同じ現象が三度繰り返された。
今頃、自分の舎兄や副リーダーにも同じ現象が起こっていることだろう。
蓮はケイに見るよう言われたその土地の広さ、建物等の障害物、脇道に目を配りながら決戦の時を待っていた。
急速に口内の水分が消えていくような気がする。緊張しているのかもしれない。
―…いや、思った以上に緊張している。
手腕有無関係なく、自分はやって来るであろう楠本達に一匙の畏怖を抱いているのだ。
やはり片隅で怖いと思っているようだ。
情けないことに、人に強く怨まれ、裏切り者と罵声を浴びせられることがとても怖い。
「蓮さん?」
聞いてますか、仲間から声を掛けられて蓮は我に返る。
どうやら物思いに耽っていたらしい。
いつの間にか、自分はその場から逃げるように路地裏を突き進んでいた。
苦笑を漏らす蓮に対し、何も知らせられていない仲間はキョトン顔で首を傾げてくる。
「隈なく路地裏を調べないと、浅倉さんに怒られますよ。今回の喧嘩はいつも以上に気合を入れないといけないんですから」
「ああ、分かってるって。和彦さんは負けず嫌いだし、荒川さんにも手助けしてもらっている。負けるわけにはいかないよな」
そうだとはにかむ仲間は、「あの舎弟さんの助言ですと」まずは道の広さを調べるんでしたよね、と話を切り替える。
相槌を打ちつつ、蓮は何も知らされていない仲間の仕事熱心な姿に胸が痛んだ。
この作戦は危険を被(こうむ)る。
向こうチームのインテリ不良に告げられた。
それは自分達中心人物がオトリになることもそうだが、何も知らされずオトリにされる仲間もまた危険。
チームの中心達だけが作戦の真意を知り、水面下で動いている。
作戦が漏れたら最後、チームの輪が乱れる危険性もハジメは指摘してきた。