青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
(思っていた以上に辛い状況だな。荒川さん達はまだかっ)
メールが来て五分程度、だろうか。
時間は掛からせないとヨウは断言してくれたし、今回の総指揮官(リーダー)ケイもお得意の土地勘をいかんなく発揮すると言っていたが。
この調子だと十分は掛かるかもしれない。目安はメール新着五分だったのだが、残り五分。
持たせるには並々ならぬ気合と根性がいる。
人数は増えていくばかりだし、仲間内は動揺と混乱を隠しきれていないようだし、口の中は痛いし。
困った状況だと他人事のように考えながら、飛んでくる蹴りを避けてボディーブロー。
すかさず別の相手から蹴りを頂戴してしまうが、怯まず後ろ回し蹴りで応対した。
ぽつり、頬に液体が付着する。
最初こそ敵の体液かと思ったが、どうやらこの液体は曇天から落ちてきたようだ。降り出してきたらしい。
ぽつり、ぽつり、と小粒が頬を叩いてくる。
曇天から雨天に変わる空の下。
未だ高みの見物を決め込んでいる楠本を一瞥し、蓮は焦燥感を抱いていた。
一分一秒がやけに長い、早くヨウ達が来てくれなければ仲間達がヤラれてしまう。
数メートル先で聞こえた仲間の悲鳴に、蓮は次第次第に気が焦っていく。
助けに行きたいが自分も目前の不良相手に手一杯だ。このままではヨウ達が来てくれる前に、こっちが全滅してしまう!
「っ、しまった!」
武器にも防具にも対応できる鉄パイプを蹴り飛ばされ、それを手放してしまった。
隙を逃さず自分の胸倉を掴み、ストレートを食らわせてくる敵側。容赦なく羽交い絞めにされてしまい、蓮は油断した悔しさを噛み締めるようにギリッと奥歯を噛み締めた。
抵抗する前に痛烈な右左フックを食らわせてくる敵に、慈悲は存在しないようだ。
蹴りやフックの連続攻撃に口内だけでなく口角も切ってしまう。
「いってぇ」漏れる本音にせせら笑うような飛び蹴りを鳩尾に食らい、蓮は今度こそ両膝をついた。
呼吸も儘ならぬまま痛みに耐える一方、向こうの鉄パイプが頭上目掛けて振り下ろされる。
「蓮さん!」仲間の悲鳴がやけに遠くっ…、カツン。