青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「やばそうか?」声を掛けてやれば、「目がぁ。目がぁ…ですよ」某アニメの台詞が口ずさめそうだと、おどけが返ってきた。
幾分余裕はあるようだが、混乱している心までは誤魔化せないらしい。
それは、まともに戦えそうな仲間も同じ事が言える。
だからこそ蓮は仲間を守る側についた。
チームの中でも手腕のありそうな仲間を選んではきたが、混乱は必ず隙を突かれる。
もう少しの辛抱でヨウ達が来てくれる筈だから、それまで、それまではっ。
勢いづいた鉄パイプが仲間に翳された。
「市川!」
混乱した隙を突かれ怯んでいる仲間の下に駆けた蓮は、振り下ろされる鉄パイプを自分の鉄パイプで受け止める。
が、横から顔面ストレートとおまけの飛び蹴りまでは対応が出来ず、蓮は路地裏の汚らしいアスファルトに転がった。
「れ、蓮さんっ!」
庇われた仲間の声により、呻いていた蓮は体勢を整えようとするが、踏みつけられそうになる靴底が見えて素早く寝返りを打つ。
手放していた鉄パイプを手に持ち、相手の脛目掛けた。
骨を叩きつけるような音と震える振動が手の平から腕、そして自分の脳みそに伝わってくる。
大ダメージを与えたようで、敵側が片膝を抱えてしゃがみ込んでいた。
さすがは弁慶の泣き所。
その隙に市川と呼ばれた仲間が相手の顔面に右フックを食らわせて助けに来てくれた。
「大丈夫ですか?」前に立つ市川に、「俺より野村を」あいつは目をヤラれた、と守るよう指示。
自分は大丈夫だから、一声に市川は向かって来る不良の拳を手の平で受け止め、腕を引っ掴み、鳩尾に蹴りを入れる。
そして一目散に視界を奪われている野村の下に駆けた。
「あっはっはっはっ。苦戦してるな、蓮」
ちょっち用意した人間が多かったか?
あくどい笑みを浮かべる見物客を見上げ、「うっせぇよ」蓮は口の中に溜まった唾をアスファルトに吐く。
赤く染まった唾に、蓮はやっぱり口内が切れたと呻いた。
今しばらくは食事に苦労しそうだと苦言を漏らし、上体を起こす。