青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
終わらせてやるのだ、“エリア戦争”の始末を此処で。
他の仲間には任せられないこの悪役を、誰でもない自分が買って出る。
楠本に裏切り者と罵られようが、あの時の行為を咎められようが構わない。
此処で楠本を終わらせる。
それがチームのため、ためなのだ。
自分の言葉に楠本は鼻を鳴らし、眼光を鋭くする。
「言ってくれるな」本性を出しやがって、剥き出しのコンクリートに唾を吐き掛けて楠本は仕掛けてくる。
出来上がる水溜りを踏みつけ、水飛沫を四方八方に飛ばせながらストレートを仕掛ける楠本の攻撃を見切り、蓮は紙一重に避けてその腕を捕らえた。
そのまま勢いを活かして相手の体を背負い倒す。
間髪容れず、踵落としを頭部に食らわせて相手に大ダメージを与えた。
これで終わりだと思った蓮だが、意外にも楠本は立ち上がってくる。
地面と顔面衝突した時に出たであろう鼻血を拭って、口内に溜まった血を唾と共に吐き出す。なんてタフさだ。
「お前。化け物かよ」絶対人間じゃないだろ、思わず本音をぽろり。
「ッハ」伊達に舎兄に評価されていたわけじゃない、楠本は口角をつり上げた。
次の瞬間、爪先の方角を変えて駆け出す楠本。
逃げるのかと思いきや、「しまった!」蓮は慌てて後を追う。
楠本はスタンガンを取りに向かったのだ。
こんな雨の日にスタンガンを使われでもしたら、感電死するではないか!
本気で殺される。
畏怖の念を抱きながら蓮は楠本に「少年院に行きたいのかよ!」と声音を張る。
リーチの差でそれを拾い上げた楠本は、「馬鹿だな」スタンガンじゃ人は死なないんだぜ、とご丁寧に教えてくれた。
「スタンガンは高電圧かつ低電流。ショックや痛みは与えることができても、死ぬ心配はねぇよ。濡れていてもそれは同様だ」