青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


蓮は空を仰いだ。

雨粒を落としている空は分厚い雲の層で覆われている。

この調子だと今夜中、いや明日中降り続けるのではないだろうか?


「そうだ。荒川さん達は…」


蓮は楠本がいた非常階段に向かう。

手摺越しに路地裏を見下ろせば、未だ喧嘩が繰り広げられている。


数が多いらしく、確実に一人ひとり伸しているものの、長期戦を強いられている。自分も応戦するべきだろう。
 
 
「っ…、いってぇな」

 
ハッと蓮は目を見開いて、ぎこちなく視線を戻した。

どうか予感が外れてくれますように。

祈るような思いで、おずおず振り返ってみる。

絶句と絶望。数十メートル先に、上体を起こしている楠本の姿がいた。


「おい嘘だろ」


やっぱお前化け物だろ、そうだろ、スタンガンって体の自由を奪う物じゃないのか。

言葉を失っている蓮を余所に、「いったろ…」負けちまったらどうしょうもねぇって…、俺の目的は二つだと楠本は荒呼吸で口を開く。


「ひとつはっ、お前の…、お前等の居場所…を奪ってやること。もうひとつは、サキさん…、のためだって。どんな手を使ってもっ」


よろめきそうになる楠本だが、踏み止まって奥歯を食い縛ると低く唸った。


「“廃墟の住処”を奪う。そしたらあの人は…、いつでも戻って来られる」


戻って来られるための居場所を作っておかなければ、それが自分を拾ってくれた舎弟の務めだから。

だから浅倉チームは邪魔なのだと咆哮のように訴えた後、楠本は体に鞭を打って蓮に飛び掛った。

受け身を取る蓮は持っていたスタンガンを宙に放って、まず武器の処理。


次いで楠本と激しく揉み合う。


腰辺りまでしかない手摺に体を押し付けられ、蓮は本能的に警鐘を鳴らした。


このまま押され続けたら、落ちる、落ちてしまう。
 

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