青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「楠本っ、お前っ、落ちたいのか」
「お前が落ちてくれたら終わるんだよっ、蓮」
憎悪を宿す瞳に見据えられ、「洒落になんねぇぞ」此処は四階ほどある高さ、落ちたらどうなるか。
蓮の訴えも虚しく楠本は激しく掴みかかってくる。
抵抗するために掴み返して応対。
狭い踊り場で揉み合いをしていると、「ッ」どちらとも言えない息を呑む音が辺りに響き渡り、そして。
その頃、ヨウは苛立ちを募らせていた。
雨はどんどん降るわ、動き難いわ、敵は多いわ、勝手に清瀬はいなくなるわ。
襲い掛かってくる敵を確実に仕留めることはできても、楠本側の人間が何人いるのか見当もつかない。
見るからに不良で敵意を見せ付けている奴もいれば、大通りを歩いていそうな一般人のような奴もいる。
大通りから人間を調達しているのか、それとも先手を打って大通りで人間を待機させているのかは知らないが、これでは埒が明かない。
「終わりが見えねぇな」
ヨウは苦言を漏らし、やっぱ大将を取るしかないと判断。大将さえ取ってしまえば戦意喪失は確実だろう。
「荒川!」
と、聞き覚えのある声。
振り向けば、向こうチームの頭が敵を散らしている。
肩を並べてきた浅倉に、「終わったのか?」短めに質問。
彼は頷き、自分達エリアに回された人間は少なかったのだと返答した。
「俺が負傷してるってのもあるだろうな。舐められたもんだ。お前の舎弟のおかげで、どうにか路地裏に追い込んだ後、道っつー道を塞いで叩き潰した。蓮は?」
「分かんねぇ。あいつ、いきなり走り出しやがったんだ」
「走り出した?」「ああ」戦闘アンド持ち場放棄では無さそうだが、彼の手腕に頼ろうとしていた面があったから困っているのだとヨウは苦笑する。
蓮がこの場に居てくれたならば、もう少し敵の数を減らすこともできたのだろうけれど。