青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「これ以上、惨めな思いは真っ平ごめんだ。居場所も舎兄も奪われた上に復讐相手に助けられるくらいなら、俺は、「蓮っ、れーん!」
ケタタマシイ足音と自分の呼び声が鼓膜を振動する。
限界を超えた手は滑り滑って、今にも落ちそうになるが、
「蓮っ!」
しっかりと腕を掴まれた。
刹那―…。
蓮が必死に握っていた楠本の手首は、相手の意思によって手中から引っ張り出されてしまう。
軽くなる肩と消える痛み。
しかし蓮はなりふり構わず、掴んでいた手を伸ばし、自分の状況も忘れて路地裏に響き渡るような声音で叫んだ。
「楠本っ、くすもと―――…っ!」
最後に見た楠本の表情は確かな笑み、否、何処と無く羨ましそうに自分を見つける素の表情。
胸を鷲掴みにされたような感覚に陥り、そして思考がストップした―――…。