青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


急かしてくるヨウに呻いて、俺は渋々チャリに跨った。 
 
ハンドルを切って大きくチャリを旋回させると、折角上った坂を一気に下っていく。

入り組んだ住宅街を突き進み、小道を使って20分後、無事にシズの家に到着。

シズの家は古びた二階建のアパートで、ペンキで塗装されている筈の壁や階段の手すりが剥げかけていた。


それに、なんか…、いかにも出そうな雰囲気が漂っているんだけど。


周辺も家々はあるけど殺伐しているし、駐車場が多いし、人気は少ないし、辺りは薄暗いしっ!


「ぶ、不気味だな。此処らへん」

「シズ曰く、ここ一帯は墓地を潰して建物が建っているらしいぞ。だから結構出るんだってよ」


で、出るって何が?

青褪めながらガタブルと身を震わす俺に、「そりゃあ」勿論幽霊さんだろ、ヨウは平然と答えた。

途端に俺はヨウと距離を縮める。

ははっ、俺、怖いものとか見たい好奇心はあるけど、見たら絶対に後悔するタイプ。


結構ホラー系は駄目なタイプなんだ。


ましてや身近に幽霊現象があるなんて言われたら…、うわぁあああ、なんで昼に行こうって言ってくれなかったんだよアニキィイイ!


って、あぁあああ、なんでさっさと行くんだよヨウ!

お前、わざと? それ、わざとか!
  

「待てってヨウ!」


急いでチャリに鍵を掛けた俺は全力疾走で、ヨウの後を追う。


「ははっ。ビビリ」


茶化されたけど、マジ駄目なんだって俺!
肝試しとか無言で全力疾走するタイプなんだから!


お前、本当に幽霊が出たら除霊してくれよっ、不良アンドイケメンパワーで除霊してくれよ!
 

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