青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
シズは二階に住んでいるらしい。
コンクリート肌剥き出しの階段を上りきった俺とヨウは、副リーダーが住んでいるという201号室へ。
通路から見える窓を覗き込む限り、明かりは点いていないようだ。
それでもヨウはお構いなく呼び鈴を鳴らし、中の住人を呼び出す。応答なし。
もう一度呼び鈴。応答なし。
整った眉をつり上げるヨウは「ごめんくださーい」と、ドンドン玄関扉を叩いた。
やっぱり応答なし。
居留守じゃなさそう…、本当に留守なようだ。
だけどヨウは居留守を使ってるんじゃないかと粘り強く呼び鈴を鳴らす。
「ったく、いねぇのか? 嘘付け。ぜってぇ誰かいるだろ。俺の考えを先に読まれたのか?」
「なわけないだろうよ。単にいないだけなんだって。諦めようよ、ヨウ」
「いつもなら諦めるとこだが、折角だしもうちっと粘ってみるぞ。俺」
「なにが折角なんだよ、って、あ゛! バカバカ、何して!」
焦れたヨウがドアノブをがちゃがちゃ回し始める。
そんなことしてドアが開くとでも「「あ」」、俺達は沈黙を作った。
鍵が掛かっていなかったらしい。
フツーにドアが開いた。
顔を見合わせる俺とヨウ。
視線を交わす俺達はドアノブと顔を交互に見やった後、「行くぞ」「駄目だからな」同着で意見した。
「なんでだよ。ちっと中を見るだけだって」
「ふ、ふ、不法侵入じゃんかよ! さ、今すぐドアノブを押して扉を閉めるんだ、ヨウ! 俺は犯罪者になりたくない!」
「ダイジョーブ。不法侵入っつーのは、窓を突き破ったりして家に侵入することだろ? 俺達は玄関から入るって。
何かあればシズのダチってことで許してもらえる筈。うっし、お邪魔シマース」
この傍若無人男はぁああああ!
堂々と中に入り始めるヨウに、握り拳を作って身悶える。ヨウに振り回されることは慣れている、いるけど、やっぱ腹が立つっ!
口が裂けてもヨウには言えないけどさ!
だけど此処で尻込みしていてもヨウに怒られるだけだろう。
泣く泣く俺はヨウの後について行った。