青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


前橋は軽く微苦笑を零す。

担任は立てている肘を替えて、そよ風が吹き込む窓辺に目を流した。


「特に荒川と随分仲が良いみたいだからな。感化されてる面があるんだろ。例えば、素行の悪さとかな。お前等のサボり癖の酷さは舌を巻くもんな。
よくもまあ、進級できたもんだ。ま、去年の担任のおかげ様だよな。田山?」

「う゛っ…、それは言い返す言葉も…ございませんが」


あの時はお世話になりました。

ホンッキで留年するかと…っ、こ、今年はサボり癖、ちょい緩和するよう努力します! 

決まり悪くなって萎縮する俺に、前橋は構わず話を続ける。
 


「俺は別に不良だとか、優等生だとか、そういうもんに境界線を引くつもりはない」

 
 
素行が悪かろうと、クソ生意気であろうと、良い子ぶろうと、教師視点から言えば、まだまだガキで単なる生徒だ。

境界線を引いて区別しても教師なんざ務まらん。

クサく言えば、各々の個性を見守ってこその教師だと俺は思う。


まあ、お前等みたいなクソ生意気なガキ達は頭引っ叩きたくなるけどな。
 


けどな田山、覚えておけ。



此処は集団生活をする場で訓練場。社会性と協調性が求められている公共の場。

厳しい話、はみ出し者は邪険な目で見られがちだし、こういった事件で真っ先に疑われるのは、はみ出し者だと言われる“不良”達だ。

事情も聴かずお前を疑い、謝罪させようとしたことには俺に非がある。


だが、疑わせるまでの経緯に至った、それまでの素行の悪さはお前自身の責任だ。


日頃の態度がそういう疑いの眼を向けられざるえなかった。

社会ってのはそういう冷酷な一面がある…、残念なことにな。

 

「お前の友達を思う気持ちも、社会は善意とは捉えず、寧ろ偽善行為と捉えられることもある。
敬遠されてもしゃーないってこと、理不尽な事、この世の中じゃ多々あるもんだ。

現にお前も感じてるんじゃないか? 教室の環境」



―――…それは、あんまり指摘されたくないことだ。

 
だって俺自身も変わっていく教室の環境に、ちょいと戸惑いとか、困惑とか、居心地の悪さとか肌で感じているんだから。


周囲にとって俺もきっとヨウ達と同類の“不良”の括りにされてるんだろうな。

俺もさ、去年は散々不良のヨウ達、それこそヨウ繋がりの仲間達に嘆いてたんだ。気持ちは分かるさ。



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