青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
自分の席に着いたまま、頬杖ついて窓の外を眺めていると、前の席に前橋が腰掛けてきた。
流し目に見た俺だけど、すぐ視線を元に戻した。
「あのなぁ」俺の素っ気無い態度に前橋はメンドクサそうな溜息をついた後、
「事情も聴かず疑って悪かったな」
詫びを口にしてきた。
建前なのか、本音なのか、俺には判別できなかった。
「お前が犯人じゃないってことは、よく分かった。んでもって荒川達を巻き込みたくないのも、これまたよく分かった。
けどな、お前がやろうとしているのは単なる偽善だ。自己満足っつーのかなぁ。田山が犯人じゃない以上、また誰かがお前の名前を使って恐喝をするかもしれない。分かるか? この意味」
「分かりますよ。でもあの時、そうでも言わないと先生はヨウ達を呼んでいたでしょう?
当時の事情も聴かず、今度はヨウ達を疑う可能性がある。俺の名前を使われて起こった事件なだけに……、あいつ等を傷付けたくはないんですよ。
疑われるのは誰だって気分が良くないですし、不確かな証拠だけじゃあいつ等を犯人と疑う価値もありませんよ。恐喝したのは不良、それだけでヨウ達を疑おうとしたでしょ? 先生」
俺はともかく、ヨウ達には疑う証拠すら集まっていない。
あるとすれば不良という点、そして俺と友達の二点だけ。
まったくもって証拠不十分。
新入生が俺が犯人じゃないって言ってくれたら尚更だ。
なのにヨウ達を呼びつけるなんて筋違いも甚だしいじゃん。
そりゃこの学校で不良といえば、パッと出てくる名前はヨウ達だけど、学校の問題児といえばキャツ達だけど、でもでも他にも上級生にも不良はいるんだ。
不良って点だけでヨウ達だって決め付けないで欲しい。
ぶうぶうと可愛くない反論ばかりする俺に、前橋は暫し間を置いて口を開く。
「田山、お前変わったな。善し悪しひっくるめて、お前は変わった」
それはまったくもって見当違いな台詞だった。
軽く瞠目する俺に対し、
「去年の春頃は」
素直で大人しい真面目くん、良い子くんぶっていた生徒だったのに、今じゃ自分の意見をよく主張するクソ生意気な生徒に成り下がりやがって。
よく言えば度胸がついたってところか。