青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「んじゃあ、これ、テメェが食えよ。俺からの親切心だっ」
「人の食いかけなんていらん。荒川の親切心は非常識だな。あんに奢りたいなら、そこで食券を買って来い」
「テメェに常識を説かれる覚えなんざねぇぞっ。あああっ、くそっ、タイマン張りてぇならそう言え。表に出ろ!」
「煩いブサイク不良。貴様に指図される筋合いはない」
うっわぁああああ、また言いやがった。
イケメン不良にブサイクなんて言いやがったよ、この人!
「ブサッ…」言われ慣れていないヨウがちょっち怯み、「ブサイク!」「ブサイク!」谷と川瀬が口を揃えて指差す。
途端に椅子を倒したモトが、「ふざけるなァアア!」大喝破!
「ヨウさんの何処がブサイクだ! ヨウさんがブサイクなら、地球上の生物は皆、ブサイクだ! マジっ、マジ…ヨウさんに舐めたことを」
「ッハ! 荒川よりアンちゃんの方が一回りも、二回りも、三回りも上だぞ! アンちゃんは荒川にだって匹敵する手腕の持ち主だ!」
「千草の言うとおり! 俺達のあんちゃんは、誰もが羨む美貌を持っている上に優しくて頼り甲斐がある。あんちゃんほどスバラシイ兄貴はいないんだ。
お前、噂によれば荒川の犬らしいな! ブサイク不良の犬は黙って骨でも齧ってな!」
「ッ~~~、なんだこの腹立つ取り巻き! ヨウさんをっ、よくもヨウさんを侮辱っ、オレを侮辱しやがったなっ!」
「侮辱じゃなくて真実だよな? 渚」
「おうよ、ただ真実を述べただけだよな? 千草」
あっかんべー。
青の舎弟達は揃ってモトに舌を出した。
嗚呼、ただでさえモトはヨウ一筋の男。
尊敬している兄貴を侮辱されちゃあ、怒りは臨界点に達するというもの。
そこに自分のことも侮辱されてみろ。
怒りどっかーんだぞ、どっかーん。
火山が大噴火しちまうほど、あいつ、激怒するぞ。
目に見えるほど微動するモトは、「こいつ等っ」絶対にシメる、と握り拳を作る。
あーあーあー、喧嘩がおっ始まりそうだな。
ヨウはヨウで矢島に対して怒り心頭しているし、モトも取り巻きに怒りがどっかーん。
まさかあいつ等、本当に喧嘩を売りに来たんじゃ「おいパシ」
……それ、俺のことだよな。
そういやパシリのパシって呼ばれていたっけ、俺。