青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
【二丁目踏切付近
とあるあばら家にて】
三箇所に目星をつけた俺は、何故か日賀野と一緒にあばら家を訪れていた。
そこは荒れ放題のあばら家で、雑草は伸び放題。
通行人が投げたであろう空き缶や菓子の袋もちらほら。
無人と化しているそのあばら家の前に(築三十年は経っているんじゃないだろうか。木造だしツタが壁に這っている)、俺と日賀野は立っている。
日が暮れかけているから大層不気味な平屋だ。
何か出そう。マッジ出そう!
それにしても、おやおやおかしいぞ。
三箇所に目星をつけた上に、俺、日賀野、副リーダーで健太を迎えに行くなら三手で分かれた方が得策。
なのに何故、俺は日賀野をチャリの後ろに乗せて此処にやって来たのか!
副リーダーはバイクだったのに!
日賀野もバイクに乗れば時間が短縮できるんじゃないだろうか。
俺の素朴な疑問に、「ススムなら」ひとりでも大丈夫だが、貴様はどうだろうな? と日賀野が意味深に眼を飛ばしてきた。
それはそれはいっじの悪い笑みで、「もしもストーカーが襲ってきたら?」お前、対処できるのか、と目を細めてくる。
「え゛?」
声を漏らす俺に、
「俺は好意でやってるんだぜ?」
と某不良。
「三手に分かれても良かったが、もしストーカーに遭遇したら、貴様、とっ捕まえる自信あっか? もし逃がしたら、俺は容赦なくプレインボーイをフルボッコにするつもりだぜ」
「で、でもストーカーは貴方様のお仲間が炙り出してくれているんじゃ…! あ、いやでもこんな大掛かりな挑発は複数犯ですよね。フツー」
「だよなぁ?」日賀野のあくどい笑みに、へらへらっと笑う俺。
指遊びをしていた手を止め、早く健太を捜しましょうと駆け出す。
フンッと鼻を鳴らして俺の後ろをついて来る日賀野は、なんでこのあばら家に目をつけたのかと尋ねてきた。
三箇所の内、二つはどっかの会社が所有している倉庫っぽいところだった。
でも此処だけ無人のあばら家。
日本式の古い家に目星をつけた理由は?
リーダーの問い掛けに、「此処の噂知ってます?」俺は逆に質問を返す。
「噂?」
片眉をつり上げる日賀野は存じ上げないらしい。
だから俺は噂を教えることにした。