青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「―――…おっどろいたよな。タコ沢にあーんな可愛い幼馴染がいたなんて」
スーパーを出た俺達は亀より遅い足並みで帰路を歩いていた。
ヨウはめっちゃ可愛かったと美雪さんの容姿に感想を述べている。
タコ沢には勿体無いほどの女だと言う始末。
おいおいおい、ヨウ。タコ沢が聞いたら怒るぞ。
苦笑を漏らす俺はタコ沢と美雪さんはいずれ付き合うんじゃないかと推理立てた。
初対面でなんだけど、あの空気は只ならぬものを感じたぞ。
付き合い始めたら是非とも、たむろ場に連れてきてもらいたいもんだ。
彼女がデキた俺やハジメは洗礼の如く、野郎共に詰られたんだ。
そりゃもうねちっこーく詰られたんだし、あいつにも是非野郎から詰られて欲しい!
いつもタコタコと詰られてはいるんだけどさ!
彼女を連れて来たら成り行きで美雪さんもチームの一員になっちゃったりして。
ありえる。
俺もハジメも彼女は荒川チームの一員だから。
まあ、付き合う前から一員ではあったんだけどさ。
その話をすると、「どうだろうね?」ハジメが肩を竦めた。
タコ沢がたむろ場に連れてこなさそうだと意見してくる。
詰られるのが嫌だからってのも勿論あるだろうけど、不良の溜まり場に美雪さをが馴染ませたいと思うかどうか。
元々タコ沢は群れたがらない男だ。
不良チームに身を置くってのも危険も知っている。
イコール、デキたとしても連れて来ないだろうとハジメは結論付けた。
なるほど、正論だ。
俺は同調し、
「最近不良が不可解にヤラれてるらしいな」
前の事件で日賀野に提供してもらった情報を口ずさむ。
裏で手ぐすねを引いている変態がいるそうだけど(しかも相当の策士ときた)、日賀野チームが狙われたんだ。
荒川チームが狙われないとは言い切れない。
大丈夫かなぁ、日賀野達の事件を見る限り、真っ向から勝負を挑まれるとは到底思えない。寧ろ弱点を突いてくる戦法が目立つ。
ということは、だ。
顔を顰める俺の気持ちを代弁してくれたのはハジメだ。
「荒川チームの弱点である非戦力者を狙う可能性は大。女子を含む非力な僕やケイはかーんなり危ないよね。山田の一件を聞くと、もうそこまで危険が!」
「や、やめてくれよハジメ…、洒落になってないから! マジ健太の事件っ、聞くだけで怖かったんだぞ! まんまストーカーだったしっ…、ヨウ。俺達も危ないんじゃないか?」