青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
やだなぁ、僕と君の仲じゃないか。
白々しい台詞にムカマークを三つほど額に貼り付かせるタコ沢は、もう行くと鼻を鳴らして踵返した。
心境はこいつ等に付き合ってられるか、だろう。
大股で歩き出すタコ沢に美雪さんはクスクスと笑い、俺達に手を振ってキャツの背中を追い駆け始める。
「元ちゃんったら」
歩くの速いよ、文句垂れる美雪さんに煩いとタコ沢が唸り声を上げた。
ぜーんぶ部お前のせいだと彼女を指差して責任をなすりつけている。
俺達は群れたがらないタコ沢の意外な一面に驚き笑い、その場を去った。
面白い光景だったと笑い合いながら。
だから遠ざかるタコ沢と美雪さんの会話を、俺達は聞く余地なんてなかった。
「ったく。お前が俺をひっ捕まえて、スーパーに連れ込んでっ…いっちゃん会いたくない奴等に会っちまったじゃねえかゴラァ」
「久しぶりに元ちゃんに会えたんだもの。それに夕飯のお誘いを断らなかったのは元ちゃんだから、責任は元ちゃんにもありまーす」
「はぁーあ…、ついてねぇぜ」
「ふふっ。元ちゃんの彼女になる人は幸せだろうね。元ちゃん、面倒見いいだろうし。あーあ、わたしが彼女になれたらいいのにな」
「………」
「嘘だよ。元ちゃんを困らせたくはないもの」
「なってもいいんだぞ。しょーがねぇから」
「決めたでしょ元ちゃん。お互いに不幸になるから、その関係だけはよそうって。
ごめんね、わたしから言い出しておいて。
でも、いつまでも幼馴染ではいてくれるでしょう? ねえ、元ちゃん―――…」