青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「お、俺…お話によると…、ヨ…、荒川の舎弟を演じるみたい…なんですけど…、こんな人気の無さそうな体育館裏にまで来て…、一体どうすればいいんですか? 俺」
キョロキョロと周囲を見渡す俺の視界に飛び込んできたのは、通い慣れた体育館裏。
俺のお気に入り場所のひとつで、思い出の場所でもある。
此処は俺とヨウが初めてに会話した場所。
正式に舎兄弟を結んだ場所なんだ。
昼休みは此処で皆と弁当を食ったりしてる。
その体育館裏に俺達は今いるんだ。
オリエンテーションをしているであろう体育館から聞こえてくる教師の声をBGMに、俺は再三再四何をすればいいか訊ねる。
そしたら矢島が「だから言ってるだろう?」馬鹿じゃないかお前的な目で見てきた。
「お前は荒川の舎弟に成り済ますんだ。そのために今から説明してやる。これから起こる状況くらい把握しろ。ったく、パシは頭が弱いんだな」
「(っ~~~誰が頭が弱いッ…)あ、あははっ、すみません」
ぐわぁああぁああ!
この男っ、人が大人しくしていればっ…、喧嘩に縺れ込んだら俺が負けるのは分かってるけど、でもっ、ぶっ飛ばしてぇえええ!
く、クソ…、お、落ち着け田山圭太。
お前は平和主義のジミニャーノだぞ。
喧嘩ノットスキーだぞ。
誰もが羨む…か、どうか分からないけど、とにもかくにも地味くんだぞ。
ヨウの思いつき発言に比べれば今の発言なんてっ、発言なんてっ、ミジンコだ~~~ッ!
だけどっ、腹が立つぅうううッ!
第二の俺が地団太を踏んでいる中、表の俺は必死に愛想笑いを浮かべて矢島に話し掛ける。
これも今後の俺のためだ。
今は我慢してパシリくんになれ、俺。