青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
ギッと矢島に睨まれ、俺はアタフタと立ち上がって谷と川瀬に質問。
「馬鹿、サイダーに決まってるだろ!」
阿呆じゃないかと鼻を鳴らす谷、「アクエリな」当然の如く自分の飲みたいものを言う川瀬。
三人ともペットボトルご希望らしい。
お前等の好みなんて知るか、クソッタレ!
心中で盛大に悪態をつきながら、俺は颯爽と自販機に向かった。
「ちぇ…、なんで俺が三人分の飲み物を買わないと…、しかも金くれそうにないから自費か? ジョーダン抜かせって」
ブツクサ文句を唱えて、俺は札を入れた。
あーっと…、まずは矢島のコーラを「あ、やっと見つけた!」ん? この声は。
俺は首だけ捻って声の方角を見やる。
そこには授業中にもかかわらず、俺の方に駆け寄って来る舎兄の姿。
わぁお、ヨウ、こんなところで何してるんだよ。
瞬きして相手を見つめる。
「心配してたんだぞ」
なんでメール返さないんだよ、立ち止まるや否やヨウは息をつきながら、俺の両肩に手を置いた。
「職員室に行ったきり、ちっとも戻って来ねぇし。教室に来た前橋が『やっぱ田山はいないか』って溜息ついてたから…、なんかあったんじゃないかってメールしたんだぞ。
しっかも全然返信来ねぇから…、授業抜けて探してみれば…、こんなところで何してるんだよ。
……また、なんかあったのか?」
ケイからサボるなんて珍しいぞ、堰切ったようにヨウに言われて俺は舎兄に心配を掛けてたんだって知る。
「ごめん。メール気付かなかったよ」
俺は素直に謝罪してボタンを押した。
ガタンゴトン、コーラの入ったペットボトルが無造作に落ちてくる。
取り口からコーラを取り出した後、サイダーを目で探し、またボタンを押した。
ガタンゴトン、今度は無透明なサイダーの入ったペットボトルが取り口の中で転がった。それを取り出すために俺は屈み込む。
「……、やっぱ前橋となんかあったんだろ?
昨日は敢えて言わなかったけど、結構思い詰めてたみてぇだったし。
ケイ、テメェの悪い癖だぞ。そうやって一人で悶々としてるの」