青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
おっとっと、体のバランスを崩す俺は相手と激突。
空いた手で頭を殴ってくる矢島は誰にぶつかっているんだと吠えてきた。
いや、そうは言っても元凶はアータでしょうよ!
なーんで俺がこんな目に遭わないといけないんだよ!
俺は何も悪くないのに!
ううっと頭を押さえる俺にキヨタはおろおろと狼狽。
矢島に対しては何するんだよと喝破した。
「ケイさんは被害者だろ!」
このドドド変態っ、唸り声を上げるキヨタに聞き捨てならないと前に出たのが矢島舎弟だ。
「そっちが」「悪いんだろ!」順に川瀬、谷が反論してくる。
「あんちゃんの言うことを聞かなかったパシが悪い! 話は聞いたぞ。パシ、あんちゃんより目立ったそうじゃないか!」
川瀬が生意気も生意気だと鼻を鳴らす。
「ケイさんはすっごい男なんだ!」
目立つのは当たり前だとキヨタは胸を張り、お前等は揃って変態だと口走る。
矢島が変態って言われるのはわかるけど(だって拘束だぜ?!)、舎弟達が変態ってのは?
首を傾げているとキヨタが爆弾発言を投下した。
「谷! アンタ、忘れたわけじゃないだろうな! ココロさんを押し倒したこと! こんのド変態!」
「ゲッ…、そ、それは事故だぞ!
大体あーんな女を押し倒したからなんだよ。可愛くねぇし、普通だし、押し倒したって得はねぇッ、うわっち?! パシ、上靴を投げて……、お、おい」
へーい、そこのブルーヘアボーイ。
楽しいお話をしているじゃあーりませんか。もっと詳しく聞かせろって。
いつどこでどうやって彼女を押し倒したと? 俺の彼女がなんだって? 可愛くねぇ? 普通? 押し倒したって得はねぇ?
へぇええ、得がない?
よくもそんなことを彼氏の俺の前で言ったな。言いやがったな。
大きな負傷をしている田山ですが現在進行形で闘争心が高揚しています。
喧嘩を売ってもしょうがないと思いますんであしからず。
ゴォオッと怒りに燃えている俺は上靴片手に、谷に向かって満面の笑みを浮かべる。
「お前なら勝てそうだし、うん、ちょっとタイマン張ろうか? な? 一応俺、その可愛くねぇと称されている女の子の彼氏だからさ。色々と拳で語りたいことが」
「だ、だから事故だって! マジで得なかったし、疚しい気持ちはなかった! ……胸ぺったんこだったし」