青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


「ケイちゃんの怪我イコール、どーして不良狩りに関わっているって分かるのか、怪しくない? ケイちゃん、あいつに不良狩りのこと言ったのりたま?」

「あ。そういえば…、俺の怪我を見た時は『酷い怪我だな。喧嘩か?』って。俺、不良狩りのことはひとつも」

「怪我の指摘がなくても、僕ちんはあーいつが怪しくて仕方がないよんさま。もうハジメちゃんは気付いているみたいだけどさ」


「なんで怪しいんだよ」ヨウがちっとも分からんと不機嫌に尋ねる。

まどろっこしい言い方が気に食わないらしく、ストレートに説明しろと急かした。


ワタルさんはリーダーの不機嫌をもろともせず、思い出して欲しいと掻いていた胡坐を崩し、片膝を立てた。


そこに肘を乗せて目を細めるワタルさんは、「さっきハジメちゃーんは」里見上総のことを聞いたでしょ? と俺達にクエッション。

うん、聞いたよな。
矢島はなんとなく名前を聞いたことがあるような、ないようなって生返事しかしなかったけど。


「シュンちゃーんに、ハジメちゃーんは里見上総のことを聞いた。それは間違いないし、問題ない。でもさ、さっきシュンちゃーんはこう言った。
“その、里見上総等が何をしているか知らん。貴様等が不良狩りとやらに関わっているのも、なんとなくパシの怪我を見れば分かるが…、あんより目立つな!”って」


「なあにが問題なんだ? 普通じゃねえか」


頭部を掻くヨウに、「僕は里見上総のことを聞いたんだよ」ハジメが険しい面持ちで口を開く。


「単品で聞いた筈なのに、どうして矢島は里見上総“等”と複数で答えたのか不思議とは思わないかい?
何故矢島は複数で答えたのか、まさか言葉のあやじゃないだろうし。

矢島が里見とつるんでいる人間を知っている。
もしくは里見が複数で動いていることを知っているんじゃないかな、ヨウ」


「あの野郎と里見が繋がっている可能性があるってことか?」


「そこまでは断言できないよ。ただ舎弟二人と違って、矢島は明らかに僕達に嘘をついている。“不良狩り”のことを知っているんじゃないかな」


クロとまではいかないけど、グレイ人物としてマークしておく必要はあると思う。

そう、舎弟二人がシロなら矢島はグレイゾーンにいる不良。敵かどうかは分からないけれど、注意すべき奴だよ。

もし矢島がクロなら危ないしね。

だって矢島は僕等と同じ学校の、しかも学年にいるんだ。

仮に仲間ならこっちの動きを里見達に伝達される可能性がある。


名探偵ハジメはリーダーに物申した。

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