青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
言動からそこまで推測できるなんてさすがはハジメ、頭脳派不良だ。
俺は感心する一方で、大きな不安が過ぎった。
里見の仲間がこの学校にいるかもしれない、か。
俺みたいな犠牲者が出ないといいんだけど。
真杉の件もさ、よくよくモトに聞くと真杉の仲間じゃない誰かに階段から突き落とされたって聞いたし。
ヨウはそれを聞いてなんで早く言わなかったんだって怒っていたわけだけど……、早め早めに手を打っとくべきだよな。
ってことは、だ。
あ゛あぁあああ、避けたかったけどこの話題、そろそろ出すべきだろう。
逃げていても始まらん!
頑張れ俺、明日の明るい未来を手にするためにも勇気を出せ!
圭太、ファイト!
「ヨウ。ちょっと聞きたいんだけどさ。俺って路地裏にいたんだよな?」
随分言葉を端折ったけど、ヨウには伝わったらしい。
首肯して路地裏に放置されていたと答えてくれる。
「何処の?」更なる質問に、「場所に関しては」俺よりかキヨタの方が詳しいぞ、ヨウが俺の舎弟を顎でしゃくった。
綺麗に包帯を巻きなおしてくれたキヨタに視線を流すと、舎弟は五丁目某番地のコンビニ跡地付近の路地裏だと答えてくれる。
うーん、やっぱり路地裏なのか。
俺は腕を組んで唸り声を上げた。複数の視線が説明を求めてきたから、あんま口にしたくない話題を切り出す。
「健太に聞いて路地裏に放置されたって知ったんだけどさ…、俺はてっきり自分が拘束されていた倉庫外に放置されていたと思ったんだ」
だって初日の夜も外に放置されて野ざらしの刑を受けたわけだし。
だからなんで俺は路地裏に放置されていたんだろうって思って。
ひとりのニンゲンを運ぶって手間じゃん?
人目だってあるだろうし、自力でその場所に赴いた記憶もない。
手間隙掛かるだろうに、どうしてわざわざ移動させたんだろうって不思議に思っていたんだ。
もしかして倉庫に居させちゃ不味い理由でもあったのかもしれない。
そう思うと、なーんか気になって。
それに俺、なんか大事なことを皆に教えようと思っていたんだ。
それが何だったのか、どうしても思い出せなくって。
「なんだったんだろう…、その、大切なこと。どうしても思い出せないや」
「ってことは、荒療治を図ってみるしかないってことだね?
僕は過去リンチもフルボッコもされた記憶があるから、ケイの気持ちは痛いほど分かるし、ケイ自身を優先したいけど。
その話題を出すってことはケイ、それなりに覚悟を決めているってことでしょ?」