一途に IYOU〜背伸びのキス〜


「俺、少しでも役に立ててる?」
「うん。……でも、役になんか立たなくても、友達としてならあたし……」
「ならよかった」


“友達としてならあたし、櫻井の事好きだよ”
そう続けようとした言葉は、櫻井の安心した笑顔でさえぎられた。


本当に心の底から安心してるみたいな、優しい笑顔。


「……うん。ありがとう」


“友達としてなら”なんて、とてもじゃないけど言えなくて。
代わりにお礼を言って、微笑む。


「失礼な事言ってばっかりだけど、これでも一応感謝はして……」


またしても、最後まで言えないまま声が止まる。
声が、っていうよりは、一瞬時間が止まったように感じた。


ピタって、全部が。






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