一途に IYOU〜背伸びのキス〜


「俺、本当に咲良の事好きだし……あいつの事も、俺が忘れさせてやる」
「……どうやって?」


あたしだって、その方法が分からないのに。


聞き返すと、櫻井は目を泳がせながら頭をかく。

その焦り方を見て、さっき、男子たちが帰る時の事を思い出した。
櫻井に何かを耳打ちしていた事を。


「ああ、えっちしちゃえばイヤでも櫻井の事考えるようになるとか、野田たちが言ってたっけ」
「えっ……き、聞こえてた……?」
「うん。全部じゃないけど。野田とか、ホント気持ち悪いよね」


教室でも、そういう話ばっかしてるし。
何組の誰が色気があるとか、経験が多そうとか。

下ネタばっかしてるから、学年中の女子がドン引きしてる。

そんな野田に耳打ちされた素直な櫻井は、それを信じちゃったんだろうけど。








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