一途に IYOU〜背伸びのキス〜


「消えないの……。
あたしの中から、椋ちゃんが……消えてくれない……。
何してても、誰といても……椋ちゃんが消えない……っ」



―――違う。

消えないんじゃない。
消せないんだ。


「咲良……」
「椋ちゃんしか、想えないよ……っ」



だって、無理だよ。

大切に守ってきた気持ちを、自分から手放すなんて。


そんなの……無理だ。

無理だよ、椋ちゃん……。



「椋ちゃんを好きな気持ち……捨てたくない……っ」


捨てたくない――。






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