一途に IYOU〜背伸びのキス〜


「本当だったら黙ってるつもりだった。
咲良が他の男を見つけられたなら、それもいいと思ってたんだ。
けど……そうだよな。
咲良は間違いなく、パパの子だ」


にっこり笑ったパパが、あたしの頭をポンって叩く。


「諦められないなら、もう一度ぶつかってきなさい。
葉山くんは、咲良の体当たりを受け止められないような男じゃない。
もちろん、うまく行くかは別問題だけどな」
「パパ……」
「親の勝手な思いだけど……咲良には後悔を残して欲しくないんだ。
だから、咲良が行きたいなら、行きなさい」


こんな風に背中を押されちゃえば……。

あたしを止めるモノなんて、何もない。


ずっと走り出したくてうずうずしてたんだから。



キズが深まるだけかもしれない。

それが分かってても、走り出したくて仕方なかったんだから。







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