一途に IYOU〜背伸びのキス〜


「これ、持って帰っておいて!」


パパに、持っていたカバンと、ジャージが入ってるバックを投げつける。
それからくるって背中を向けて走り出した。


椋ちゃんのマンションに向かって。

椋ちゃんの後ろ姿を求めながら走る。


……おかしいな。
自分でも不思議なくらい、身体が軽い。


120%って数字がぴったり合うって感じに、精一杯かそれ以上で走り抜けた体育祭。
だから、本当なら疲れてヘトヘトなハズなのに……。


今まで抑えつけてた本能に従ってるからなのか、びっくりするくらい身体が軽かった。


実行委員をやっている間。
確かに、時間に追われてて、毎日充実はしてたのかもしれない。

賑やかな櫻井の存在に、笑顔は作れてたかもしれない。







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