一途に IYOU〜背伸びのキス〜
彼氏として。




「考えてたのは、咲良が須田に聞いた通り、転勤の事だよ」


須田さんと別れてすぐに椋ちゃんの部屋に行って、椋ちゃんの帰りを待った。

玄関を開けた椋ちゃんは、あたしが玄関先に座り込んでた事にびっくりしてるところを、間髪入れずに質問攻めされる事になった。

椋ちゃんが玄関を開けると同時くらいに、頭の中にある質問をぶつけたら、椋ちゃんはため息をついてからそう答えた。


「去年、転勤の話が出たんだ。
もっとも、そういう可能性があるってだけだけど。
咲良への気持ちに気付いて、でも18になるまで待とうって決意してすぐだった。2~3年先を目処にって。
それで……18になっても気持ちに応えるのはよした方がいいって思ったんだ」
「なんで?!」
「社長がどれだけ咲良を大事にしてるか分かってるから。
気持ちに応えて恋人って関係になったら、咲良はきっと俺についてくるって言うって予想ができたし」
「そんなの当たり前じゃん! 絶対についてく!」



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