一途に IYOU〜背伸びのキス〜


「別に嫌がらせしてないだろ」


まさか嫌がらせの自覚がないとは思わなかった。
でもまぁそうか。


「いじめてる人にいじめてる自覚がないのが一番問題だってこの間ニュースでやってたもんね。
そういう事か。社会の縮図みたい、この料理教室」
「どこがだよ」
「全部だよ! 言っておくけど、私はいくらいじめられても屈しないからね。
その辺のいじめられっこみたいに素直に泣き寝入りなんかしないんだから」
「ああ、おまえ泣かしたら楽しそうだな。泣き顔見たい」
「ドSの変態」
「変態じゃねーだろ。つーか、おまえの口の悪さはどうしたんだよ。いつもに増してひどいけど。
なに、彼氏とケンカか?」
「そんなわけないでしょ! ただ……もう、先生とか先生がしてきた事とかそのせいで椋ちゃんが嫌な思いしてるとかそういうのにイライラしてるの。
だからこれは八つ当たりじゃないからね」



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