一途に IYOU〜背伸びのキス〜


「まず不器用だとかの悪口しか言わないでまったく褒めない」
「事実なんだから仕方ないだろ」
「態度が傲慢」
「それはおまえが言えた事じゃない」
「あと、キスマーク」


じろっと見ながら言うと、先生は顔を歪めて少し黙る。

だからすかさず、これが嫌がらせ以外のなんだって言うのか問い詰めて負かそうと口を開いた時、先生が気まずそうに目を逸らした。


「なんでそれが嫌がらせになるんだよ」
「……逆に、嫌がらせ以外だったらなんなの?」


勢いがなくなったのは、先生の声のトーンが弱々しかったからだ。

弱々しいというか、照れてるというか……頭の後ろをガシガシかきながら気まずそうにするから、なんだかこっちも怒ってるテンションじゃなくなってしまう。

先生が黙るから結構長い事私も大人しく解答を待っていたっていうのに、しばらく待って返ってきた答えは「それぐらい自分で考えろ」っていう曖昧でカチンとくるものだった。



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