いとしのポテトボーイ
☆*・・★*・※・★・☆

「最近安土クン、一緒に帰ってくれないんだよ。つまんないの」

真希チャンが一人で帰り支度をしていた。

「先輩の喫茶店にも顔出さないしさあ」

真希チャンはひとりの時でも、あの喫茶店に出入りしているようだ。
ひとりで喫茶店に入るなんてわたしにはできない。

「もうすぐテストだね。そろそろ部活休みでしょ? 一緒に帰ろうよ奈津美」

真希チャンがわたしのカバンを手に取って、強引にわたしを誘った。

雪沢クンに視線を向けると、雪沢クンはスポーツバッグの中身を整理していた。
男子サッカー部の実力は全国クラス。
テスト週間でも部活は休みにならない。
大変。
 
サッカー。
 
わたしはいいかげんな気持ちでサッカーを始めたけれど、でも今はサッカーが好き。
カッコ良くて美人な主将も、楽しい部員たちも、男子部のことも、みんな好き。

等々力センパイもサッカーが大好きだったと安土クンが言っていた。
そして奈良岡クンも。

安土クンや奈良岡クンの実力、雪沢クンと比べてどうなんだろう。
雪沢クンよりもうまかったら、間違いなく高校選抜の選手になれちゃうね。
雪沢クンも1年生ながら、全日本ユースの候補なんだから。


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