いとしのポテトボーイ
「B組の国見サン、彼氏のカタキとって警察に捕まったんだってねー」
 
ほかのクラスの子が廊下でそんなことを話していた。

「わたし、あの人たち怖かったんだー」

「退学になってホッとしたね」

わたしは彼女たちのすぐ後ろの傘立てを蹴飛ばした。

何も知らないくせに、そんな中傷して欲しくない。

「国見サンといつも一緒にいた子だよ」

彼女たちはわたしの顔をチラッと見ると、「触らぬ神に崇りなし」みたいな顔で隣の教室に入って行った。
 
確かに愛子チャンの外見だけ見れば不良かも知れない。
だけど純粋に奈良岡クンのことを愛していたのに。
 
その愛子チャンと一緒にいた子、というだけでわたしにも偏見の目が向けられる。
世間に色メガネで見られている非行少年たちの気持ちが少しだけ解ったような気がした。

わたし、今、メチャクチャ悔しい。

彼女たちが逃げて行かなけりゃ、わたしきっと彼女たちに殴り掛かっていた。
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