君がいればいい。
episode1  Lonely
「100人の人間を殺さないと、お前は一人前の吸血鬼になれない」


3歳のころからそう教えられてきた


その言葉を信じて


俺は人間界に君臨する。




「・・・かったりぃ」

大きく黒い羽をバサバサと動かしながら、俺は空を飛びまわる。

俺の名前はレオン。吸血鬼。

あはは。

吸血鬼とかありえねぇし。

俺・・・普通の人間として生まれてきて、普通の高校に通いたかった。

好きなことをして

自由に暮らしたかった。

なのに・・・

なのに。

「自由がもらえるのは、人間を100人殺してからだ。一人前になれば、人間と結婚しようがなんだろうが自由だ」

と親父が言っていた。

親父・・・吸血鬼の世界の王。

俺、一応王子ね。

ガサツで汚いけど王子だから。

王になる気なんてないけど。

俺がほしいのは名誉じゃなくて自由。

人間を殺さなくちゃ。

実は・・・今殺した数が99人なんだよね。

あと一人。

あと一人殺せば―――

俺は自由!

さてと、殺しに行くか。
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