君がいればいい。
俺の姿が見えるやつは少ない。

霊感などがないと見えないんだ。

だから殺すのなんて簡単。

実際、人間を殺し始めたのは先週。

遺族の悲しむ顔を見るとさ・・・

なんか楽しくなる。

吸血鬼だからかな?

やがて、真下にあった小さな家に目が着いた。

「おっ・・・あそこから入れそうだな」

その家の二階の窓が開いている。

あそこから忍び込もう。

俺はバサッと羽を動かして急降下する。

そして、中に人がいるかどうか確認するため、窓をのぞいた。

中には、茶色いロングヘアの女の子の後姿があった。

彼女は分厚い本に目を通しているように見える。

・・・ラッキー。弱そうな女だ。

あんなの5秒・・・いや、一瞬で殺せる。

俺の刃で噛み付いてしまえばすぐに死ぬだろう。

俺は風に揺れるカーテンをそっとめくり、中に侵入した。

すると、甘い柑橘系のにおいがふわっとした。

「なんだ、このにおい。」

と俺がつぶやくと、女はさっとこっちを向いた。

女の瞳はこっちを怖がる様子もなく、まっすぐで輝いている。

ちっ、かわいいじゃねぇか。

・・・それにしても・・・どうしたんだ?じっと俺のこと見てるけど。

すると女は、俺に向かってふわっと笑った。

・・・俺が見えているのだろうか。

女はそのへんにあったメモ帳を一枚取ると、なにやら文字を書いた。

変な女。

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