《致死ノベル》


アトガキに付いていたおまけのほうは、本編と違って、漢字によって『死』の文字が浮かび上がってきたりはしない。

本編と比較すれば、まだ読める文章になっている。

それが罠だった。


アトガキの解説で本編の謎が解けたとき、その流れで読んだおまけに、仕掛けがあるなんて気付く筈もない。


サブリミナルにより刷り込まれた『死』と、おまけの文章で頻繁に出てくる『呪い』という言葉の、イメージが結びつく――恐らくそれが、一番の仕掛けだったのではないか。


つまり私は、自分で自分に呪いの印象を植え付けた。

それが漠然とした恐怖となって、睡眠時に現れ出たのだ。

呪い、呪われるという、恐怖が。


この恐怖は、とまらない。

無意識とはいえ、呪うという、負の行動をとる自分に対して恐れ。

呪われる怖さ。


わかったところで、意識下のコントロールなんて出来るわけもなくて。


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