14日の憂鬱
憧れ

3学期の始まりの放課後

『永井。まだ残ってたの?』



それは、今から約一ヶ月前。


始業式があったその日の放課後。




既に誰も居なくなったはずの教室に、一人たたずむ姿を見つけて声をかける。




『あ?……佐藤か』



教室から見える校庭を見つめていた人物。


永井浩輔が、私の声に振り返った。



『お前こそ何でいんの』


『私? 部活の打ち合わせでさ。ちょっと忘れ物したんだ』




一番窓際の自分の席に行こうと数歩歩くと、あることに気づく。



『……なに』



『ちょっとー。そこ。私の席なんだけどー』




永井が腰掛けている机は、まさしく私の席だった。

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