俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
「考えたら…夏なのにグラタンとか暑いよね」


加奈子はスプーンをふぅふぅしながら俺をみた。


「そんなことねぇよ。俺グラタン大好きだしめちゃくちゃ嬉しい…」


俺は優しく加奈子を見つめた。


そんな俺に加奈子も頬を赤くして照れ笑いした。


「ほんと?ヒロキが嬉しいなら一生懸命作って良かったな♪」


「…………」


加奈子の愛しい発言に胸の奥に優しい火が灯る。


親父がいなかったらキスしてるシーンだ。






「ごちそうさま」


加奈子の愛情グラタンは本当にめちゃくちゃ旨かった。


手作り料理も感動もさることながら


何より加奈子を交えた夕食は笑顔が絶えなくて


それが最高に幸せだった。


付き合ってこんなにすぐだけど


俺は思えばこの時から加奈子と結婚したいと感じてたのかもしれない…。


真剣に恋する事さえ諦めていた俺が誰かと結婚したいなんて


そんな風に思える日が来るなんて驚きだ。







「加奈子ちゃん、今日は本当に楽しかった。またいつでもおいでね」


加奈子を送る間際

ビールでほろ酔いの親父が言った。


「これからもうちの息子と仲良くしてやってな」


「…はい///」


加奈子は照れながらも、太陽のような笑顔を見せた。


俺の大好きな笑顔―――…


親父から見えなくなると俺はたまらずに加奈子を抱きしめたのだった。


< 154 / 280 >

この作品をシェア

pagetop